現在先進国と称してはばからぬような国家ですら義兄弟の契りとして 互いの血をすすりあうような慣習が

残されているくらいなのですからこういった慣習が人類にとってどれだけ密接で重要なモノであったのかが

伺い知ることが出来るように思えます

ヒトは共食いもしますが、ハラが満ちているときにヒトを食うという行為は伝承や相手の力を受け継ぐため

の尊厳にみちた行為であると考えるべきモノであると理解してもらえば良いでしょう

 

なにも殺して喰らうことばかりがカニバリズムを指すわけではないのです

相手の体液をすすり

肉をそいで

飲み込んでしまうことは

さして異常な行為とないえないのです

高熱に苦しみ泣き叫ぶ子供に自分の指をきり

食べさせて入院させられてしまったやつがいましたが

それが

2人の関係性においてかくも重要なことなのなら

それをとやかくいうことは

誰にもできないのです

その時の彼の言い分は

自分の切れた指からつながる神経で病気で苦しむ子供と痛みを共有し

痛みや熱を半減しようとした

からで

神経が入っていて一番自分から切り離しやすくて

食べさせやすそうだったのが

指だった

のにすぎない

だからそうしただけということでしたが

結果子供と引き離され

2度とあうことはできなく

なりましたが

子供の熱はちゃんと下がりその子供は

今はあうことすらかなわなくなった父の存在を今もその体内でちゃんと認識しています

一般的な善悪、ノーマルであることの基準など本当につまらないもので

極限におかれることも自らそこへ赴くこともなくロクに突き詰められることもないような愛情などで

救えるものはたかがしれているといえば

いいすぎかもしれませんが

淵を歩くことでしか自己認識できなくなってしまったような

人間にとっては

自己と他者をつなぐには十分な重さの鎖と垣根になりえるものだったということはできるのではないでしょうか

 

 

 

 

 

 

<きこり>と女房

むかしむかしある深い森に慎ましく暮らしている樵がおりました。

樵にはそれは美しい女房がおりましたが、辛いことに女房は盲(めしい)でした。

樵は女房のことをとても好いておりましたから、女房が閉じ込められている闇の世界のことを考えるたびにその闇の深さと恐ろしさに脅えずにはいられませんでした。

ある寒くなり始めた日の夕暮れ、いつものように森から帰ってきたきこりは手の中に握っていたものを女房に握らせました。

 

今日は森でとてもいいものを拾ったんだ。

ほら、握ってごらん。

 

あら、なにかしら?

 

女房は出した手を思わず引っ込めていました。

なにやらヌメっとしてあたたかい柔らかいものに触れたからです。

それはいままで樵が森から持ち帰ってきたどんなめぐみとも違っていました。

 

ねぇ おまえさん これはなぁに?まだ一度も触ったことがないものだよ。

 

これかい これは目玉だよ

にぎってごらん、ホラ グニョリ

あれ 本当だ、ソレ グニョリ

 

そして樵は昔、婆様から聞いたというとても不思議なハナシを始めました。

それは遠い遠い異国のハナシです。

今よりはるか昔大陸のあるところに砂に囲まれた とても貧しい村がありました。

その中に父親のいない寂しい家がありましたが頭の良い母親がたった一人の息子をそれは大切に育てておりました。

でも、悲しいことにその息子は生まれつきの白痴で、自分が死んだ後のその子の行く末を考えると母親はいたたまれぬほどの不安を覚えるのでした。

 

そんなある日世間で評判の導師がこの低い石積みの壁に囲まれた砂の村に立ち寄りました。

母親はなけなしの貢ぎものをもって導師に合い、ある秘義を授かることが出来ました。

 

その村から五里程離れたところに岩ばかりで出来ている険しい霊山があり、そこには昔から沢山の猿が住んでいました。

導師はその猿の脳を白痴の息子に食べさせると良いと母親に教えたのです。

そしてその猿の取り方と有り難い呪文も教えてくれました。

母親は導師に教わった通り、糸月の夜一人で険しい山に登り、眠りこけている猿の首を猿が気がつかないように身体から切り離しました。

 

 

袋いっぱいに首をつめて帰ってきた母親は教わった呪文を猿達に聞かせます。

すると猿達は自分の身体がなくなっていることをすっかり忘れて楽しそうに歌いはじめるではありませんか。

母親は一匹目の頭蓋を外すと灰色の脳髄をとりだしそれをすり鉢ですり潰し、まず赤子の手で一握りの量を息子に与えました。

そうやって七日間が経ちました。

それが終わると次の七日間は子供の手で一握り、

そしてその次の七日間は女の手で一握りを。

最後の七日間は男の手で一握り、これがちょうど猿の脳一匹分になるのです。

一番最後の二日間、一日目はもう一度呪文を唱えて残った猿達に死んでいることを教えてやり、残りの一日をかけて山へ骸を返し、丁寧に弔ってやりました。

こうやって三十日が経ち、それから三年程もたったころには息子はすっかり白痴ではなくなっていました。

ありとあらゆる難しい科挙にもすらすらと合格し地方でしたが任官も目前に控えておりました。

 

ところがそのハナシがときの皇帝の耳にはいり息子は宮廷へと招かれます。

困ったことに皇帝の息子である皇子もうまれついての白痴だったのです。

皇帝は呼び寄せた息子の首をその場ではね、頭蓋を開けて脳を取り出すと金彩色の皿に盛らせ皇子に食べさせました。

でも一度に食べさせたからなのか、すり潰さなかったせいなのか、息子の記憶はそっくりそのまま皇子のなかに入ってしまい皇子は息子になりかわってしまいました。

皇子は床の転がっていた自分の首をはねた刀を拾い上げるとそれで皇帝を斬り殺してしまいました。

暫くの間皇子は乱心したと思われ見張られていましたが、疑い深い宦官達も優しくて利口になった皇子を皇位継承者として認めないわけにはいきませんでした。

やがて皇位を継承すると母親を呼び寄せ幸せな治世を長く長く続けたそうです。

 

樵はすっかりはなし終えると女房の目を撫で言いました。

 

おまえの目もこれを食べればきっと良くなるはずだよ。

さあ、口を開けてごらん。

 

樵は女房の口にまだ暖かい目玉をいれてやりました。

女房は少し苦労をしましたけれど、なんとか目玉を飲み込むことが出来ました。

すると不思議なことにたちどころに女房の目はパチリと開き初めて明るい沢山の色に彩られた世界を見ることが出来ました。

でも、はじめに見えたのは目を無くした哀れな夫の姿だったのです。

 

これは 悲しい 悲しい 愛の物語です。

砂街に伝わる物語のひとつです。

また 機会があれば語りましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて

私が残された仲間達と

カニバリズムと影のユメでなにをシステムとして構築し、なにをしたのかを

ここで書くことは出来ません

それは

当時の仲間達との重要な盟約でもあるからです

ただ

これらの狂気から逃れるために編み出された

色々なモノは

やがて姿を変え目的を変えていきました

狂気から逃れるためのシステムとして

集められていた

情報は

 

いつのまにか

予想される

ヒトの終焉をひもといていくための

予備知識へと変化していました

一度

25年程前に

これを演劇にして開示したことがあります

ただ 

能力があまりに不足していたため

とても充分には表現しきれていませんでした

果たして今回も表現しきれるものかどうか

わかりかねますが

よろしければ

ゆっくり

最後までつきあってください

 

 

 


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