既に人類の終焉は予告されています

歴なるものが発明され多くの預言者達がそれぞれの歴史の節目を

終焉の予兆とし繰り返し繰り返しうわ言のように破滅を

呟き続けてきました

でも大抵のものは夢想のように不安定な願望めいたものであったように

思えますし

もともと在る一定種が増えすぎれば自滅することになるのは

必然的なところも在るのでこういった予言の類いも

さほどの意味があるものとはいえません

予想されるヒトの終焉とは

既にアトがない種としてのヒトのことであり

何度も何度も自滅して果てたヒトのことを指すわけではないからです

つまり今現在この星で進化の極北として栄華と破滅を象徴している人類

の終焉のことではなく

この星が星としての命が潰えようとするその刹那に

進化の頂点にたち文化という生物にあるまじき進化をとげた

ヒトという種が終焉を迎えようとするその様を

予想しようとしているのです

例えば強大で無差別な殺戮によってヒトという種が完全に地上から消え果てた

としても

また生残った他の種からヒトが生まれてくる可能性が在るかぎり

ヒトの終焉とは言えないからです

生物はその目的のために

進化をとげます

それはその生物自体の環境への意思によるものと考えていいでしょう

生物は全身の体毛体液までもがその葛藤によって

かなわぬ空をきるようにその遺伝子の塩基配列に

傷をつけ

進化を促し

長い長い時間をへて

姿を変えてきたのです

それが環境というあまりにも強大な力にたいして

生残ろうとする寄生種たる生物の

本来の姿なのです

進化の果てに生まれた生物が環境そのものを

変化させうる力を持ちえたとき

進化そのものが意味をなさなくなったとき

生物は自らがやっと手にした寄生種にはあるまじき

反自然的な力によって

自滅していきます

それは寄生種がその宿主そのものを

コントロールしようとした

壮大な本末転倒にたいする必然にすぎません

つまり

ここでいうヒトとは

この星が終局をむかえつつあり

既に他の生物がヒトになるまでの時間が用意されていない環境で

なにもかもが枯渇して砂とかしてしまった大地にしがみついている

僅か一握り程度のヒトの群ということになるわけです

 

この星の終局は親星である太陽の滅亡と同時であることは間違い在りません

ならば 

50億年から60億年未来ということになるでしょうか

 

 

太陽は赤色矮星という状態に移行していて

この星からみれば

地平線全体に広がるような

巨大な赤いだらだらしたヒカリにしか見ないことでしょう

たいした熱量を伴わないこの赤いヒカリは

全ての資源を吸い上げた結果一面砂漠とかし冷えきり

枯渇した大地を

昼も夜もなく

ぼんやりと照らしています

現在のおよそ三分の一程度の面積になった海と海に生きる原始的な藻が

陸地に残された僅かな生き物と最後の文明のために空気を循環させ

ぎりぎりの命を保っています

 

既にヒトと呼ばれた種は何千回も滅び

また

違う傍系から進化して

この星に寄生しました

遥かな宇宙に新しい星(ホスト)を求めて船に乗ったヒトも多くいましたが

その多くは2度と帰ってくることはありませんでした

 

この星に寄生したヒトの歴史は大体位は残されていて

それなりな研究も進んでいましたが

この最後の時代に好んで研究されていたのが

この星で最初にヒトとして文明を作り上げた

 

つまり我々の文明でした

彼等の文明の多くは我々の文明をタタキ台にしたものでした

それはこの星の最後の寄生者としては

ごく自然な選択だったのかもしれません

彼等は

残された

残滓

のような文明を過去に潰えた文明にすり合わせ

僅かに残された生存への可能性を

模索しようとしたにすぎなかったのかもしれません

彼等はちょうど今の我々が向き合っているような

末世的な世界を迎えつつあり

我々の代から営々と生き延びてきていた

深海の生物たちに着目し

その研究を行うため

砂漠に深い縦穴を堀り

その砂の重みを動力源にしながら

水槽に圧力をかけ

多種の深海魚を飼い

その生態から

生き延びる為の方法を探しだそうと

していました

影のユメはそんな世界のなかで

生まれた

生存のための方法論でした

彼等はその理屈に従い

影が出来ない暗がりの中でのみ生活し

また、更なる動力をえるために

縦穴を掘り続けなければなりませんでした

もう、一体どの位の深さに沈降したのかわからなくなったころに

地上では最後の核戦争が勃発し

地上の人間の多くは影だけを残して

灰とかし

地底の生き残り達は

影の出来ない世界の住人として

あやふやな生にしがみついていました

 

 

さて、これが予測されるヒトの終焉についてのおおまかな前書きです

この後のハナシは

両眼球狂orHUNTER

で書いていきたいと思います

食人主義については

そこで

また

書くことになると思います

 

演劇というカタチでこれを上演したときには

ココまでのハナシはスタッフと役者のみに

話され

実際に上演したのはこの後の

両眼球狂orHUNTER

のほうでした

 

 

 

 

 

 


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