犬にかんする考察です。 愛犬家は読まないで下さい。






何年ぶりかで実家に帰ったのです。

親や妹とは 特に話すことも無いのでそのまま 自分の部屋に入りました。

部屋は私が小学生のころ隣のタカハマさんが自分の子供の勉強部屋として増築したもので当時流行り始めていたプレハブ構造の六畳くらいの今なら納屋みたいな 部屋でした。

それをタカハマさんが引っ越したときに貰い受けウチに移築したのです。

最初は妹と使っていましたが私が中学生になったときから私専用の部屋になっていました。

今でもそれはそのまま残っていて部屋の中のものもそのまま残されています。

特にやることもなかったので 私はなんとなく部屋の片付けをはじめ 机の下に山積みになっていた本を引っ張りだしていたらそこに妙なものがあるのに気がつ きました。

机の下はもともと狭いので中にある物は手を突っ込んで引っ張りだすしかなく最初はその感触に驚いたのです。

(なんだかゴワゴワしていてなにかの毛皮のようなもの)

まず それの上に乗っているものをどかしてあらためて手で感触を確かめてみるとそれは結構大きくてしかも固くなんだか見当もつかないシロモノです。

いずれにしてもそのままではひっぱりだせそうにないので少し苦労しましたがなんとか机をどけてようやくその見当もつかないシロモノと相対することが出来ま した。

それは干涸びた中型犬で 良く見ればおぼえのある犬でした。

もう 何年も前のコトになるのですがよく近所でエサをねだっていた野良犬なんです。

でも なぜ そんな犬がこんなところで干涸びてしまっているのか それについては まったく覚えがないのです。

まぁ でも そのままにしておくこともできないのでひっぱりだしてみたら驚いた事に その犬はまだ生きていて ひくひくと動き それから長い時間をかけて 何度も足をじたばたとさせながら ようやく立ち上がり 私を恨めしそうに睨むのでした。

いったいどれだけ机の下で干涸びていたのかわかりませんが 流石に声はでないようで時折ひゅーひゅーとかすれたような息がもれるような鳴き声をだすだけな のですが それが私を威嚇しているかのように思えるのです。

困ったなぁ と思います。

なにより面倒じゃありませんか。

こんなところを母親に見つかったらまたグチグチと説教されるに決まっています。

さて どうしよう

どのみちこんな状態じゃ助けることもできないし それなら(いっそのこと)殺してやってどこかに埋めてやるのがまだ一番良いように思えます。

それで 母親に見つからないように持ち出すのにここで殺して切り分けることにしました。

そのために切るものを探したのですが中々都合が良いものがなくて結局刃物らしきものは机の引き出しからでてきた彫刻刀だけでした。

本当は包丁がいいのだけどこの時間だと母親が台所に居る筈なので流石にそれはちょっと無理なんです。

止むなく犬の首のした辺りを彫刻刀でついて殺そうとしたのですがもう血もすっかり乾いているらしくさしても血も出ないし そのせいなのか一向に死ぬ気配が ありません。

それでも 解体していればそのうち死ぬだろうと ザクザクと犬の体を切り分けて行くのですがこれが 全然死なないのです。

バラバラになって干涸びた目玉を切り離してもまだ私のコトを睨んでいるのです。

そのうち この犬がとうに死んでいて だから死なない事に気がついたのですが それに気がついたときに私も死んでいた事を理解したのです。

そうだよな

そうでなければ死んでいるものが見えるわけないものな

そう 考えながらだんだんと意識が途切れて行き 私はまた本来在るべき場所へと帰って行くのです。


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